- 残気量
- 機能的残気量
- 全肺気量
それでは,測定できないものをどうやって測定するのか?
1) ヘリウム希釈法
ヘリウムが体内で代謝されないことを利用した,機能的残気量の測定方法。
水に浮かんだ容器の中およびそこから伸びているチューブ内のヘリウム濃度をC1,容器とチューブの容積をV1とする。この時のヘリウムcontents(容量)は,C1 × V1。チューブは三方活栓みたいなコックを介して被験者につながっている。測定前は,被験者は外気で普段通りの呼吸をしている。機能的残気量はスパイログラムで見ると,安静呼吸時の呼気終了時の肺容量だから,このタイミングでコックの向きをかえ,被験者は容器およびチューブ内のガスで呼吸することになる。ある程度呼吸を繰り返しているとヘリウムガス濃度が平衡状態に達する。その時の濃度はC2,容積は容器とチューブのV1に機能的残気量のV2を足したもの。つまり,ヘリウムcontents(容量)はC2 × (V1 + V2)。ヘリウムcontents(容量)は体内で代謝されないので不変なので,図のような等式が成り立つ。V2を求めることで,機能的残気量がわかる。
2) 体プレチスモグラフ法
ボイルの法則が成り立つことを利用した方法。ボイルの法則を成立させるためには,閉鎖空間が必要であり,この場合ボックスと体内が閉鎖空間となる。つまり,この方法のミソは,被験者はボックス内の空気で呼吸をしないということである。
被験者は,口に圧力計が付いたマウスピースみたいなものをくわえてるということにしておこう。この状態ではボックス内の空気を吸ったり吐いたりできないのだが,被験者には呼吸行為を行ってもらう。目的は,体内の圧を変えることにあるから。
吸気前のボックス内の圧をP1,ボックス容量をV1とする。吸気時には体内が陰圧になるので体内の空気が膨張する。この時の空気の容量変化をΔVとすると,ボックスの圧はP2となり,容量は体内の空気が膨張した分,ボックス内の容量は小さくなる(V1-ΔV)。吸気前後の関係式は,
P1× V1 = P2 × (V1-ΔV)
今度は,口につけた圧力計に注目。吸気前の口腔内の圧力はP3。この時の容量は吸気前なので,これが機能的残気量となりV2となる。吸気時には,口腔内の圧力はP4になり,容量は,もともとの機能的残気量V2に陰圧によって膨張した空気の量ΔVが加わる。吸気前後の関係式は,
P3× V2 = P4 × (V2-ΔV)
この2つの式からV2を求めることで機能的残気量が測定できる。
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